劇団、本谷有希子 クレイジーハニー 観てきました

 う~ん、なるほどね!これが本谷有希子か!! と思いました。
 長澤まさみさん主演と言うことで、多分いつもとは別の意味で注目されていたと思われる本作。多分、あまり舞台を観たことが無い人も結構いたんじゃないかな。特に長澤さんのファンは、かなりの比率で始めての観劇になってるだろう。だって長澤さん自身、これが初舞台だからねえ。
 私自身、本谷さん作品は初めてだったので、期待していたのかと言うと、ほとんど期待はしていませんでした(笑)。まあ、カワイイ長澤さんが見られれば、芝居そのものがつまんなくても別に良いかな?と言う感じで。。そして、予想に反して、舞台はおもしろく、予想を超えて、長澤さんはかわいくてキレイだった。
 ここでちょっと、内容の確認をしておくと、ケータイ小説家としてデビューして、最近は実体験をもとにした、”不幸な女”を描く作風へと変わった小説家ひろみ(長澤さん)と親友でゲイの真貴ちゃん(リリーフランキーさん)のトークショーが舞台。そのトークイベントを利用して、今までに無い本を出そうと画策してる二見(ソンハさん)。二見の後輩で、イベント会場を手配した泉(安藤玉恵さん)。いわば、トークイベント第2章的として、ひろみ&真貴ちゃんとファンとの本気トークをさせて、それを本にしようというわけ。ちなみに、そのファンの代表的存在として道尾を吉本菜穂子さんが演じてます。(よし、これでざっくりとイントロダクションは抑えたかな?)
 本谷さんの芝居は、自意識過剰な女が暴走してやっぱりちょっとずれた感覚を持った登場人物たちを翻弄していく、という話は聞いていたけど、ひろみも確かに暴走してます。ファンを”豚”呼ばわりするし、靴をなめろと言うし、そして実際に靴を舐めた上に、下の方でイってしまおうとするファンがいるし、ファンの中に”自分をモデルにして小説を書いている”と思い込んで抗議する人がいるし、ひろみはそのファン(正確にはファンじゃないよね)を脱がそうとするし、と書いていったらきりが無いほどの暴走が繰り広げられてます。いつもの本谷芝居より出演者数が多いらしいので、ところどころガヤガヤしすぎてうるさいだけの状態になっているところもありましたね。実際私も鬱陶しいと感じたシーンはありました。
 ただ、そんな自意識過剰なひろみを演じる長澤さんは、なんだか水を得た魚のようにイキイキしてました。声が凄く良いんですよ。よく通るパワーというか圧力のある声。TVや映画の芝居では、ちょっと舌足らずっぽくちょっと窮屈そうに喋っている印象があったので、これは意外というか、新発見というか、これが本来の姿なんだなあ・・・、と思いました。開始から上から目線でファンに理不尽な事を言い続ける女の芝居は、この声を最後までキープし続けられただけで、充分に成立しますね。
 真貴ちゃんとの関係は、どこか”共依存”のような感じで、過剰な自意識をキープし続けるには何かしらのつっかえ棒が必要なんだと感じました。そういう意味では、あの鬱陶しいファンの存在もひろみには必要なのかと・・・。言葉では”繋がり”を否定しつつも、実はつながりに依存して己を保っている、危うさを感じました。ラストの流れはそれを明示的にしていたと思います。
 パンフレットのインタビューでリリーさんが言っていた”ひろみにとって真貴ちゃんは最初の友達、真貴ちゃんにとってひろみは最後の友達”と言う言葉は、なるほど納得のいくもので、流石にリリーさんは舞台は初だけど、小説や映像などさまざまな表現媒体で経験を積まれた方だなあ。
 それでも、真貴ちゃんは消化不良感を感じます。ゲイの心理ってもうちょっといろいろあると思うんですけど、あくまでも”ひろみにくっついてるゲテモノ”として描いていたように思えました。これも、ひろみを中心として描くためと思えば納得はできますが、観ている最中はうそ臭さを感じてしまいました。役者ももうちょっと舞台経験の豊富な方に演じてもらったら、また違った味が出たんじゃないかなあ、とも思ってしまいます。古田新太さんとか・・・、贅沢言い過ぎか?(笑)
 本谷芝居は観る人を選びますね。まあ、小劇場系のお芝居自体が、元々万人向けじゃないですしねえ。万人向けに作るのならば、小劇場でやる意味がない。という感じのモノが多いですからね。パルコ劇場は小劇場では無いですし、出演者数もかなり多いですから、完全に小劇場の芝居では無いですね。この出演者数の多さが鬱陶しさにつながっている分、余計に観る人を選びますけど(笑)

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